恐竜が恐怖に震えた日(後編)

2019/04/29

陽の下でぬくぬくしていたレックスが目にした飛行機雲。
これは、直径10kmもある巨大な隕石が、
地球の大気を貫いて落下している姿です。
落下時の速度(衝突速度)は時速7万kmほど。

通常、地球の大気圏に突入する隕石
わずか数10cmといわれますから、
その大きすぎるくらいの大きさは
想像するのも難しいくらいです。
またその衝突速度は、
ジェット機が時速700kmほどですから、
なんとその100倍の速さということです。
レックスが獲物を食べようとした瞬間に浴びた風は、
隕石が地球に落下したときの衝撃波です。
この衝撃波は地球を取り巻くほどのエネルギーでした。
ですから落下地点から離れていても
多くの生命体がこの波を感じたことでしょう。

ちなみにこの隕石
落下地点もわかっています。
メキシコはユカタン半島の北東部
半島とメキシコ湾を調査した結果、
隕石が落ちたときにできる特徴が見つかりました。
そのときにできた巨大なクレーターの大きさもわかりました。
クレーターの名前は「チクシュルーブ・クレーター」といいます。
さて、レックスが次に見たのはキノコ雲です。
これは、隕石が落下したせいで地面が裂け、
巨大な火山噴火に似た現象が起きたことによる噴煙です。
辺りが暗くなってきたのは、
衝突の衝撃で巻き上げられた塵や灰、
大量の水蒸気が厚い雲となったためです。
また、隕石も粉々に粉砕しましたので
塵などと一緒巻き上げられました。
あまりにすごい量なので、
雲は世界中を覆い尽くしました。
雲として広がり、塵や灰、隕石のかけらは
地上に降り積もりました。
これが、レックスが見た、小さな黒い塊の正体です。
その証拠は、地層となって現在も残っています。
イリジウムという特殊な物質で、 今でいうレアメタルですから、
地層に普通に存在するモノではありません。
この特殊な地層は、世界のあちこちに分布しています。
ちなみに日本では北海道の白糠丘陵で見ることができます。
(白糠町のHPはコチラ
どうしても、その地点が突き止められず、
写真もみつけられませんでした。
ごめんなさい。
でも上下の地層に比べて明らかに黒いので、
見分けはつきやすいと思います。
さて、次にレックスは寒さに気がつきました。
世界中を厚く覆った雲が、太陽光を遮断してしまったのです。
こうして地球に、氷河期が訪れました。
太陽がなくなれば、植物は育ちません。
植物がないと、草食恐竜は生きられません。
レックスが追いかけていた草食恐竜が倒れていたのはこのためです。

草食恐竜がいなくなれば、
それを餌にしていた恐竜も生きてはいられません。
また、恐竜は変温動物ですから、
冷たい世界に住み続けることはできません。
こうして強きも弱きも無関係に
恐竜たちは死に絶えていったのです。
※注:以上は今、一番支持が多い学説の一つです。他にも有力な説は複数あります。