【回顧録:阪神淡路大震災】③ついに対面!地震の黒幕
阪神淡路大震災を引き起こした元凶である、
野島断層を探す旅。
前回は、
報道で有名になった民家に出会えたところまで
おはなししました。
次に探しているのは、やはり報道で有名になった、
地震の原因・野島断層が大きくその姿を現している現場です。
意外にも、その民家の目の前でした。
しかしここはさすが1年後。
行政により、現場は大きく金網で囲われていました。
動きたてホヤホヤ(※)の断層は目の前です。
※断層が大きく動くのは通常、数千年に1回です。
ですから、地震からたった1年しか経過していない断層は、
動きたてホヤホヤといえるのです。
目の前に目指すアイツがいるのに、
触れることができません。
すると、たまたま人がやってきました。
そして、金網についてる入り口の鍵を開けています。
こうなったらチャンスです。
なりふり構わず、突進。
「す、すみません!
私、これこれこういう業界のものですが、
後学のために個人的に見学にきました!
どうか私を、この中に入れてください!」
よほど必死だったのか、
それとも真剣さが伝わったのか、
そのおじさんは、ニコニコ笑って
「どうぞ」
と入れてくれました!
どなただかまったく確認しませんでしたが、
その節は怪しげな旅人の申し出を快く聞き届けてくださり、
本当にありがとうございました。
断層には無造作にビニールシートが被されています。
動きたてのナマの断層を触れる機会もめったにないので、
ここぞとばかりに触りまくりました。
もちろん、写真撮影も。
ちなみに、お触りが趣味という変態ではありません。
断層は動くと、
ずれたその境目の地層(岩石)に大きな摩擦が起こるため、
その境界部分の地層(岩石)は、
とーっても細かく砕けます。
これを、断層粘土(だんそうねんど)といいます。
当時の筆者は、地層の土を指先にとって
親指と人差し指でこねくりまわすと、
それが粘土なのか、
それより粒子の大きいシルトという物質なのか、
判別することができました。
で、確かに断層「粘土」なのかを確認したく、
ほうぼうを触ってみたのです。
もちろん、原型を崩すようなことは絶対にしません。
確か、このときすでに
「この断層のうえをそのまま資料館として残すか」
の議論は始まっており、それを知っていたからです。
それから数年後、
とうとうそこは、資料館になりました。
野島断層保存館という名称です。
北淡震災記念公園に、野島断層やセミナーハウス、
レストラン、物産館などが併設されています。
この公園ができてからまだ訪問はしていませんが、
HPをみて驚きました。
前回写真を掲載したあの民家が、
そのまま保存されてます!!!
(写真再掲)
淡路島へお越しの方、
ぜひこの公園を訪れてみてください。
そして、大地が一瞬にして大きくずれる、
そのエネルギーの大きさを想像してみてください。
もしかしたら今、アナタの家の真下で、
そのエネルギーを解放しようと、
別な断層が“そのとき”を待っているかも知れません。
“そのとき”に備えるためには、
“そのとき”を経験した場所を知っておくのが
もっとも有効な手段だと思います。
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[…] この当時はインターネットもそれほど普及しておらず、 筆者は、兵庫県南部地震を起こした張本人、 野島断層の位置を正確に知らないまま現地へ赴きました。 観光マップをもっていないので、 野生の勘で突き進みます。 大まかに北西部だとはわかっていたので、 報道された内容と地形図から、 ここではないかとあたりをつけて、 道なき道を山登り。 そう、気づいたらケモノ道さえないところを 山登りしてました。 アナログの腕時計と太陽の位置、 そして地形の勾配(起伏の激しさ)から、 自分がどこにいるのかを常に気にしながら進みます。 今思えば、当時はGPSなどなくても、 自分のいる位置と紙の地形図上での位置関係は、 対して悩まずに体が感覚で感知していたんだと思います。 慣れとはすばらしいものです 筆者は、この地震でもっとも有名になった家屋、 断層の真上に建っていたため家がまるごとずれた、 その家を探していました。 山を分け入ること1時間。 ふと目の前が開けたと思ったら、 目に飛び込んできたのは、 ぺしゃんこにつぶれた納屋(と思う)でした。 老朽化により徐々に崩れ落ちたのではなく、 地震の被害だということは直感で分かりました。 人の住むところでなくても、建物があるということは、 この辺に民家が存在する可能性がある、 そう思い、地形図を丹念に確認して、 再び歩を進めます。 するとどうでしょう。 あの家です! とうとうあの家に辿り着きました! 家の壁も、お勝手の入り口も、 断層によってずれたままです。 ピンク矢印の「横ズレ」成分と 青矢印の「縦ズレ」成分の 両方があったことが、一目瞭然です。 気づくと、ワンワン! と 犬の元気な鳴き声が聞こえます。 報道でもよく映った、 この家のワンちゃんです。 犬が大好きな筆者はすぐさま近寄ります。 多くの来訪者に慣れているのか、 もともとの性格なのか、 筆者にすぐになついてくれました。 犬が元気、ということは、 この家の住人も、ここに暮らしているということです。 ここでみなさん、考えてみてください。 地震から1年2ヶ月後です。 上下左右にずれた家で、14ヶ月も暮らしてる??? おかしいと思った人もいるかも知れません。 しかし、これが震災の現実なのです。 地震は、何の前触れもなくやってきます。 ですから、家を新築して住み始めた次の日に、 地震で家がめちゃくちゃになる可能性もあるんです。 突如、家がぐちゃぐちゃになったからって、 次の家にさっさと住める人はそうそういません。 このお宅の事情は分かりませんが、 大変なご苦労があったと思います。 ギリギリまでその家に住み続けないと仕方ない、 それが震災にあった多くの人の現実でしょう。 次回は、いよいよ地震の本体に迫ります。 […]
[…] 前に、阪神淡路大震災を引き起こした 野島断層についておはなししました。 そのときの掲載した写真には、 なにやら、矢印がいくつか入っていますね。 これは、断層の動いた方向を […]