露わになった恐ろしい断層の姿3

2019/04/29

お待たせしました。
前回お見せした写真の解説です。
神城断層本体のname
まず、赤い部分に境目があります。
これが、以前おはなしした断層面ですね。
そしてAの部分は本来、平面上に広がる地層でした。
それが、こんなにグルンと曲がってます。
前にも話しましたが、
断層の分類でいうとこれは、逆断層です。
それも、断層面が水平に近い、逆断層です。
つまり、Bの部分が右下に力一杯動いたことで、
Aの部分が引きずり込まれて、
こんなにグルンと曲がってしまったんです。
想像を絶する地球のエネルギーです。
ものすごい力です。
なんだかイマイチ動きが分からん、
という人は、下敷きで試してみてください。

この絵のように、下敷きにゆっくり力をかけます。
すると、下敷きはどんどん曲がっていきますよね。
ゆっくり力をかけていくと、
そのうち、先ほどの写真のような形に
下敷きが曲がっていることに気づくでしょう。
筆者はこのときが初めての断層調査でした。
専門用語では、トレンチ調査といいます。
トレンチとは、英語で「堀」の意味です。
「初めてのトレンチ調査
こんなとんでもない断層に出会えるとは、
君はラッキーすぎる
といわれました。
くどくどと、寒さと泥まみれの苦労を前述しましたが、
多くの人手で大変な苦労をしても
断層が見つかることは少ないそうです。
でも、調査は無駄ではありません。
より詳細な地質調査、
すなわち、どんな種類の地層か、
地層の向きはどんなもんかなどがわかるのです。
これらを総合すると、
大きな地質図ができたり、
断層の位置を推定したり、
などができるわけです。
このとき出てきた神城断層は今、
はぎとり標本(※)となって展示されています。
※はぎとり標本:トレンチ調査で掘った穴の壁面を
のりで固め、固まった部分を崩さないようにはぎとり、
状態を保ったまま運搬・展示できるようにしたもの。
さて、その展示の場所ですが…
当時は、工業技術院地質調査所の地質標本館にありました。
しかし、今はやりの事業仕分け的なものが
実は2000年にも行われており、
工業技術院地質調査所は、
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
になりました。
地質標本館は残ってますが、
どーも当時と雰囲気が違う…
なので、神城断層のはぎとり標本が、
新しい地質標本館にも
変わらず展示されているかはわかりません。
どなたか、ご存じの方がいたら情報ください。
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