ここを見れば巷の予知情報のまやかしがわかる
最近、あやしい予知情報が蔓延しているとの話を耳にしました。
そういうくだらない情報は自動的にスルーする機能を備える筆者は
どのような情報が出回っているかを知るよしもないのですが、
善良な市民であるみなさんは、
この手の話に対しては、以下のような視点をお持ちください。
まず、地震は来るのか来ないのか。
答えは「来ます」。
南海トラフ沿いと千島海溝沿いと茨城沖と首都直下は、
どれが先に来てもおかしくありません。
詳細は省きますが、地球の構造的にそういうものですから、
これは科学的にあたりまえのこととして忘れないでください。
次に、予知だとか予測だとか簡単に言ってしまっている
地震予知(地震予測)情報については、その情報が、
以下のことを検討した上で述べられているかに気をつけてください。
1.ある現象が起きたときに「地震の前兆だ」と言ってる予知(予測)の場合
その現象が起きるであろう原因について、可能性のあるものをすべてを精査し、
その結果、地震以外の要因が排除された上で初めて「この現象は地震が原因だ」
と特定しているか。
2.「3.11と同じ事が起きている」と言っている予知(予測)の場合
「同じ」とは、何をもって同じと言っているのか。
必要なパラメータ(地震なら、規模、位置、時間など)を数値で表すのは最低条件で、
示した数値の誤差まで示し、その誤差について考察しているか。
3.「いついつにこのくらいの地震が起きる」と言っている予知(予測)の場合
これは、時間・空間・規模、情報発信頻度の4要素について、
確かにみなさんが期待するレベルの予知(予測)方法であるか。
また、1と2の両方が考慮されているか。
この3つの視点をもつだけで、予知・予測話のほとんどが1も2も検討していない、
ということに気付くと思います。
注:「ほとんどが」と言ったのは、(くだらないので)この手の話の
すべてを検討したわけではないので100%といわなかっただけ。
ちなみに1だけでも構いません。
2の話は当然1を検討していないですし、
3も1を検討していなければ信頼に足る情報ではないからです。
1が難しいっぽい印象だといけないので、
1を検討しないことがどれだけアホらしいことかをお話しします。
そのアホらしさの程度は、
「腰が痛い」という人に対して即座に「子宮癌だよ」と結論をくだすのと同レベルです。
腰痛には、筋肉痛、ぎっくり腰、ヘルニア、他の内臓疾患、心因性のもの、
あらゆる原因があるはずです。
考えられるすべての要因を排除してはじめて確定診断はできるのです。
ちなみに「子宮癌だよ」という結論がどれほどアホらしいことかというと、
「腰が痛い」という“男性”に即座に「子宮癌だよ」と言っているくらいアホらしいことなんです。
くどいようですが、予知屋がなんと言おうと地震は来ます。
どこが起こりやすいかは科学的にわかっています。
ただしこれは、一般に期待される数日以内というタイムスパンでの
「いつ どこで どの規模で」というものではありません。
また、今の科学では起こりやすさすらわからない場所も多いです。
科学的な前提を知ること、その上で、アヤシイ情報を見分ける目をもつことが、
アホな情報に振り回されない秘訣です。
ディスカッション
コメント一覧
最近ですと、村井俊治氏の地震予測が悪質だと思うのですが、どうでしょうか。
彼の場合、GPSデータの異常をみて地殻変動(実際は単なる測位誤差なんですが)を地震の前兆としているので、一般のひとには、ご指摘の1~3のうちの1について説得力を見出してしまうと思うのです。しかも彼の場合、肝心のGPSは専門外なのに、「測量学の権威」「東大名誉教授」という肩書を前面に出すもんですから、一般人としてはどうしても彼の言を信じてしまうわけです。
さらに、有料メルマガでしか全予測情報が見えないので、的中率も評価できません。
こうした意味で、いろいろ巷にあふれる地震予測サービスのなかでも、村井俊治氏のものは、本当にレベルが低く、かつ悪質だと思っています。何とかならないものでしょうか?
※わたしは、国土地理院にも、村井氏によるデタラメな電子基準点データの利用に警告を出すよう何度も抗議したのですが、国土地理院は「データをユーザがどう利用するかは地理院の感知するところではない」との回答で、警告も何も発してもらえませんでした。本当にもどかしいです・・・。
当サイトの「2014年9月8日フジTVのMr.サンデー「地震予知特集」の残念さ具合」にあの地震予知についての見解を述べています。
その後の調査で、地理院データを利用している際には、理学系のGPSをちゃんと知る研究者であれば誤差を取り除いてから解析するのですが、彼は誤差を取り除かずにそのまま使っていることもわかりました。
しかし、彼に悪意はないと思います。
ただ、理学的には評価に値しない結果なのに、思い込みが激しくあたかもちゃんとしたデータかのように公表してしまうのが、わかっている人にとっては問題だと思うのです。
学術系の人(この場合、地理院や地震学会、測地学会etc)は、学会の場できちんと議論されるものには建設的な批判を加えます。
しかし、学会にも出てこない場合には、学術としての議論に値するものではないと考えていますので、批判は加えません。
ましてや、検閲機関でもないので警告もしません。残念と思われるかも知れませんが、これはごく当たり前のことなのです。
このような地震予知情報は他にも蔓延していますが、今、我々ができることは、情報を鵜呑みにせず一回立ち止まっておかしな点はないか自分で考えることのみと思います。
ま、それができない日本人(それができないような教育制度しかない日本)そのものが残念で仕方ありませんが。