鯰絵(なまずえ)の入手法

2019/04/29

かつて筆者がいた研究所付属の専門図書館は、入ってすぐ左側にショーケースに鯰絵(なまずえ)が飾られていた。
あまりに当たり前の光景で当時はとくに気に留めたことがなかった。

時は経ち、江戸時代が注目される昨今。
鯰絵は実は大変価値のあるものであることに気づいた。
いわずもがな、絵画作品としての価値と、歴史的な資料の価値としての両面だ。

鯰絵はすなわち、地震の生き証人である。
風刺画の性質が強いが、ものによっては地震の規模を知るよい手がかりもあろう。

いろんなきっかけが重なり、鯰絵が欲しい、ホンモノの鯰絵が欲しい。
そう思うようになった。
鯰絵の絶版本を購入したり、
東大地震研の石本コレクションをがん見したり。
神田の古書店に行き、実際の鯰絵を見たりもした。

ホンモノはやはり迫力がある。
浮世絵とまったく同じ技法の版画だから、
デジタルでは見えない、当時の職人技を細部まで確認できる。

どうしても手にしたい。
しかし・・・。お高い。
数十万円は当たり前。

鯰絵に憧れて2,3年だろうか。
ボストン美術館がサイトに浮世絵の高解像とデジタルデータをおいているという情報を得た。

さっそくそのサイトで「鯰絵」と検索すると、あるある。
ホンモノの鯰絵は変えないし、浮世絵と違って現代で複製されているわけでもないので
どうやって手にしようかと思っていたが、これで実現できる。

さっそくインクジェット用和紙を買ってきて印刷。
ホンモノの鯰絵は1枚A3くらいの大きさなので、
A4プリンタではサイズが物足りないがまぁよしとしよう。

色を自分の好みに調整して、できた。

お金があってもホンモノを買ってしまうと困ることがあった。
それは、「日焼け大敵」。
飾ることができないのだ。
今は、紫外線防止のアクリルの額縁もあるらしいが、
そこまで仰々しくしたくない。

その点、自分で、じゃなくてプリンタさんが和紙に刷った鯰絵なら、
日焼けしたら作り直せばいい。

こうして無事飾れる鯰絵を入手することができたのだ。